いのちと健康センター(2022/07/01 No.173)

10月から ジェンダー平等・働きやすい職場を目ざして    男性の育児休業取得促進のため取得が最大4回可能に

 2021年6月に育児・介護休業法が改正され、今年10月から男性の育児休業取得促進のための子供の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みが創設されます。これにより政府は、20年度の男性の育休取得率12・6%を25年までに30%まで引き上げることを目標としています。
 本市も男性の育児休業の取得回数制限を緩和して、最大年4回の育休取得が可能になります。
育児を男女が共同して担うことはジェンダー平等の一環で、職場の取り組みにかかっています。

父親も育休が取れる職場に

 現在、市の男女比率は約6対4ですが新規採用の男女比は概ね5対5になっていきますから、今後の子育て世代は男性の育児休暇取得の機会がさらに拡大します。
 将来にわたって誰もが育児休業取得が出来るように休業を支える人員をしっかり確保することがジェンダー平等を支えるカギにもなります。

先進国のアイスランド

 世界で最もジェンダー平等な国は12年連続世界1位のアイスランドです。この国を率いるのがカトリン・ヤコブスドッティル首相で、夫と共に3人の子育て中。アイスランドは父親の育児休暇取得率は8割を超え、国会議員も男女同数に迫っています。
 一方、日本は、各国の男女の格差を測るジェンダーギャップ指数で120位。国会議員の女性割合は1割を切る世界で最後進国の一つです。

ジェンダー平等実現へ 男女の賃金格差をなくす

2017年、カトリン首相は就任直後、すぐ取り組んだのが男女の賃金格差をなくすことでした。世界で初めて男女同一賃金の証明を企業に義務づけ、違反した雇用主には罰金を科すという法律を施行しました。
世界各国が性別による賃金格差を禁止しているにもかかわらず、実効性のあるものになっていません。男女の賃金格差をなくすことは女性の経済的自立にも密接に関わる、とても重要な問題です。
賃金は平等であるべきです。その差の大小が問題なのではなく、そもそも差はあってはならないのです。

公務労働の賃金体系をスタンダードに

ジェンダー不平等の根源には、男女の賃金格差の問題があります。民間企業の賃金体系では1億円の生涯賃金格差があると言われています。 人口の半分は女性で、パワーを引き出すためにも同一賃金が必要です。 企業に賃金格差の把握や公表を義務付けるだけでなく。公務労働の男女平等の賃金体系をナショナルスタンダードにすべきです。

週4日労働イギリスで実験 「しっかり休めばよく働ける」

● 英国で、6月から半年間、70の企業の労働者3300人を対象に賃金を維持したまま週4日労働に移行する世界最大規模の実証実験が始まりました。参加企業は食品業界やスキンケア、住宅関連から大手金融機関まで多岐にわたります。
 実験には、英国のシンクタンク「オートノミー」、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、米国のボストン大学の研究機関などが参加します。
 参加企業と協力し、生産性や従業員の福利厚生、環境や男女平等に与える影響を調査します。
● 実験の責任者は、「歴史的な実験」と評価。週4日労働が従業員、企業、気候に利益をもたらすと考えられているとして「これらすべてを掘り下げていく」と表明しています。
● 労働時間短縮を提言してきた団体「週4日労働キャンペーン」のジョー・リール代表は「しっかり休めばよく働くことができる。労働者と雇用者どちらにとってもプラスだ」と強調、「(週4日労働は)大きなうねりになっている」と語りました。
● 週4日労働をめぐっては、2015年から19年にアイスランド政府やレイキャビック市議会が実証実験を実施。大半の職場で生産性が向上し、労働者のストレスが激減しました。スペイン政府は既に実験実施に合意しており、ニュージーランドやフィンランドの首相が賛意を示すなど広がりを見せています。

熱中症チェックリスト

熱中症かも?と、思ったら
 手足がしびれる・めまい・立ちくらみがある・筋肉のこむら返りがある・倦怠感・吐き気・頭痛・身体が熱い・けいれん・意識障害 など、後述になるほど熱中症の重症度が高くなります。●めまいや倦怠感を感じたり、体調がいつもと比べて違うと思った時点で、涼しい場所で休憩・水分補給を行いましょう。熱中症でつらい思いをしないように。●予防を心がけましょう。

つぶやき

マイナーカード受診

 岸田政権の経済財政基本方針・新「骨太の方針」に、「健康保険証を廃止してマイナナンバーカード診療を進める」がある。国会審議抜きで、ごり押しするつもりらしい。保険証より便利なのか調べてみると、骨太どころか““スカスカ”だった▼保険証の場合、協会けんぽは勤務先を通じて手渡し。国保は自治体が郵送。役所に足を運ぶ必要はない。マイナカードは5年に1回は電子証明証の交換に役所に足を運ぶ。10年毎のカードの更新はさらに面倒。申請に行き、それから新カードの発送までに10日はかかる▼保険証は月初めに1度、窓口に出せば良い。カードは受診の度に機械の前に並び、顔認証か暗証番号入力で資格確認が必要。電子証明証は期限が切れたら使えなくなり、資格があっても受診できない。紛失や交換期間中に受診の必要が出た場合はどうすればよいか、厚労省は検討課題だと言う▼特養には認知症の入所者も多く、預かり証を作って保険証を管理している。マイナンバーカードは他人が扱えない。総務省の担当者は「入所者の同意を得て、個人番号を覆い隠せば、預かることも可能」と。だが、「入所者に代わって職員が暗証番号を入力はダメ」。関係者は「どうすればいいの」と、こぼす。調べれば調べるほどに穴だらけ。手間と負担も増える▼マイナンバーカードの普及を始めて7年、税金をバラまき、湯水の様に使うが、普及率は44・7%と、進まない。識者は「政府の個人情報管理に信頼がない」からと言う▼なぜ、政府は急ぐ。疑問ばかりが膨らむ(P)