いのちと健康センター(2021/07/01 No.161)

WHO調査 2021年 長時間労働が原因で 世界で74万5千人以上が死亡!

(WHO)と国際労働機関(ILO)は今年5月17日、労働時間と死亡の関係について世界的な調査研究結果を発表した。発表によると2016年に長時間労働が原因で死亡した労働者は74万5千人に上ったことが明らかになった。長時間労働と死因を取り上げた調査研究が実施されたのは今回が初めてだ。
 調査結果から、週の労働時間が55時間を超えると、35~40時間労働と比べて脳卒中を発症する確率が35%、心疾患で死亡する確率が17% 高くなることがわかった。長時間労働に起因する脳卒中と心疾患による死亡者数の合計は、2000年から2016年までの間に29%増加。そのうち、長時間労働に起因する心疾患で死亡した労働者は42%、脳卒中による死亡者は19%増加したと見られる。
 仕事に関連した疾患の影響を受けたのは男性のほうが多く、死亡者全体の72%を占めた。その多くが60~79歳で、45~74歳の間に1週間55時間以上働いた人たちだった。

東南アジアの男性が最も深刻

 域別に見ると、東南アジアが最も深刻な影響を受けており、長時間労働に起因した死亡者数は32万人近くに上った。続いて多かったのが日本、韓国、中国、オーストラリアなどを含む西太平洋地域で、20万人を少し上回る人が死亡した。WHOによると、長時間にわたって働く労働者の数は増加しており、仕事に関連して障害を負ったり死亡したりするリスクを抱えた人が増えているという。

パンデミックで長時間労働

 新型コロナ感染症のパンデミックが発生して働き方が一変、多くの業界でリモートワークが当たり前になり自宅と職場の境目が曖昧になったことで、労働時間の把握も曖昧になり長時間労働の増加が心配されている。「1週間に55時間以上働くと深刻な健康上の危険」があり、「早すぎる死につながる」恐れに、政府も、私たちも気付き、1日の労働時間規制を基本にして労働時間把握の厳格化と週や月、年間の労働時間を削減する政策や法律を導入すべきだ。

日本のワクチン開発はなぜ遅い 

開発費は世界の10分の1以下

 日本の研究者からは「日本の開発費は欧米や中国の10分の1以下だ」と溜息が漏れる。米国は国防の観点からもワクチンの新技術を準備し、蓄積していた。2019年12月31日WHOに報告がされると翌1月10日には、ファイザーはウィルスの遺伝子配列解明。3日後にはワクチンの設計図完成。ワクチンの治験申請が2月20日。今回のmRNAワクチンは、ドイツ人女性医学者が1980年代から基礎研究に取り組み、既に技術開発していた。

日本の開発遅れの背景

 日本政府は1992年予防接種集団訴訟に敗訴して以後、訴訟を恐れて2007年まで積極的なワクチン政策を採らなかった。さらに1990年代以降の「行政改革」で保健所や国立感染症研究所の予算や人員を減らし続け、感染症病床も減らすなど医療体制も脆弱になった。また「島国だから感染症は水際で防げる」と、政府内に誤った風潮が強まり、開発補助金が大幅に減額され、製薬会社は開発を控えた。

ワクチン日本の現状は

 世界で開発中の新型コロナワクチンは200以上ともいわれる。 日本では、大阪大学発の製薬ベンチャー「アンジェス」が昨年6月末から、塩野義製薬が昨年12月から、第一三共が今年3月から治験を開始している。
 菅首相はコロナ禍に見舞われて1年以上経つ2月17日の国会で「国内で治療薬、ワクチンが出来るよう徹底して支援していくことが必要だとんなことを言っているのが日つぶやき

つぶやき

崑崙(こんろん)朝顔

 中国は、崑崙山脈からやってきたアサガオ、崑崙朝顔という。荒れ地でも、すぐ芽を出し、すぐ咲く。花は小ぶりな綺麗な濃い紫色。5年前に恩師から譲り受けてから毎年咲いている。種を意識して採ることも、蒔くこともない。落ちた種が芽を出し毎年綺麗な花を咲かせる▼シルクロードの西域南道、チベット自治区に面する2400キロの崑崙山脈を原産地とする朝顔は、朝早く咲く花は紫が濃い、日が昇ると少し赤色が出てくる。豪華さはないけれど、小降りで清楚な紫の花は咲く時間も期間も長く10月下旬まで楽しめる▼「朝顔」は日本で古くから親しまれている草花だが、日本原産の植物ではない。奈良時代に中国から渡来し、薬草として用いられたのが始まり。観賞用として楽しまれるようになったのは江戸時代で、大きな花や葉や花がユニークに変化したもの大流行した▼小学生の頃、夏休み自由研究に、朝顔の成長の記録を観察ノートにしたため思い出も…。朝顔の「種をまき」「発芽」「開化」と、成長の喜びはひとしおだった▼観賞用に改良された「朝顔」は花の咲く時間が短い。観賞用は少ない葉っぱの枚数で花を咲かせたり、花びらの変形や色合い、大きさを競うものなど種類が多く、愛好家も沢山いるようだ▼一方、「崑崙朝顔」は数千年の時を経ても変わらず、荒れ地でも芽を出し、そっと花を咲かせる。清楚で紫色の美しい崑崙朝顔、シルクロードの厳しい道程に思いをめぐらせながら、今年も開化を楽しみにしている。(N生)