いのちと健康センター(2023/01/01 No.179)
いのちと健康をまもる「安全第一」の年に
安全衛生法50年 国際社会は労働安全衛生重視
安全な労働環境は平和な社会で
ロシアのウクライナ侵攻から1年、エネルギー資源を始めとする原材料価格が上昇を続けています。
石油を始めとする原材料価格の上昇に加え、円安で物価高が続く一方、賃金の上昇は進んでいません。2022年4月から、年金引き下げも行われており、労働者をはじめとする国民の生活悪化が進行しています。
今年1年の取り組み、先ずは「安全第一」をめざします。
私たちが生きている社会は、不安定な土台の上に成り立っています。世界のどこかで、紛争や戦争が行われ、巻き込まれる危険があります。 また、気候危機により自然災害の発生頻度が高くなっており、災害に巻き込まれる危険性もあります。
職場においても、事故に巻き込まれる危険や人間関係によるストレスの高まり、ハラスメントなど、あらゆる災害・トラブルに遭遇する危険性と隣り合わせです。
世界標準から遅れた日本
ILOは、2022年総会(昨年6月)にて労働安全衛生条約である155号と187号条約を加えた5分野10条約を中核的条約としました。
日本政府は、ILO条約の労働時間を定めた1号条約(労働基準法36条の労使協定で大幅な時間延長ができる点などが批准出来ない理由)をはじめ18本ある労働時間・休暇関係の条約を一本も批准していません。
今年7月の通常国会で105号条約(強制労働廃止)を批准しましたが、労働安全衛生条約の追加による111号条約(雇用及び職業についての差別待遇に関する条約)と155号条約(職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約)が新たに未批准の条約となりました。
健康で働くために安全第一
安全衛生法がつくられて50年、職場での働き方・労働環境がコロナの中でテレワークや時差出勤など大きく変わっています。
安全で健康的な労働環境をつくることが国際労働機関の基本的原則及び権利に追加され、加盟国は、関連条約を批准しているか否かにかかわらず、基本的権利に関する原則のひとつとして尊重し、促進し、かつ実現する義務を負うことになりました。
この事実を広く周知・啓発するとともに、尊重・促進・実現のための具体的取り組みの計画について示すことが日本政府に求められています。
職場から、働き方、作業環境の「安全第一」が守られているかを点検し、人間らしく働ける職場を目指して声を上げて行きましょう。
職場から「過労死と健康被害」をなくす
2020年1月16日に国内で初めてのコロナ感染症陽性者が確認されてから丸3年、今年で4年目を向かえる。コロナ感染症対策が「臨時的」対応ではなく日常的対応として、「過労死ライン」を超える働き方をなくすため、自治労連では労基法33条の対象業務であってもスパンと上限、そして、ルールが必要だと考え運動を広めています。
臨時の必要でも上限とルールを
労基法33条1項または3項によって「①災害時などで臨時の必要がある場合②公務のための臨時の必要がある場合時間外をさせることができる」としています。
この条文を濫用し、恒常的に長時間労働が行われている職場が多数存在し、3年におよぶコロナ対応では100時間を超える時間外労働が横行している状況です。
「臨時の必要がある場合」の厳格化や上限規制を設けることが必要です。そもそも労働者保護の最低ラインを決めている労基法に、除外規定があることがおかしいのです。
厚労省も総務省も、自治労連に対し、『例え33条が適用される業務であっても、職員のいのちと健康に影響が及ぶことがあってはならない』と繰り返し回答しています。
しかし、3年にもわたる「コロナ危機」が「臨時」と言えるのか、健康被害が出ているケースもあります。「死ぬか、辞めるか」の働き方を強いられている職員が多いのです。
今からできる
いのちと健康を守る取り組み
【職場での取り組み】
①安全衛生委員会を活用する。長時間労働の実態を調査・上限を超えた職員の要因の分析検証をすること。
②36職場の業務範囲の厳格化。33条発動の厳格化と届出の際の労使協議。
③業務量にふさわしい人員を配置すること。
④災害時に備えた体制ルールを作る。
苦しい時は仕事から逃げる勇気も
異常な時間外労働からは良い制度・良い政策が生れるはずがありません。市民のための自治体であるなら、まず、職員が活き活きと働ける職場づくりをすることが大切です。苦しいときは仕事から逃げる勇気も必要です。
つぶやき
平和な春を待つ
1年の始まり、元旦。古くから、その年の良運を祈るための様々な行事が行われる。何より平和な世界を望む。ロシアによるウクライナ侵略戦争が、一日も早く、ロシアが撤退して終わることを▼年末に安保関連3法が国会の審議も無く閣議決定された。日本が「戦争するため」の文書である。先制攻撃の敵基地攻撃が叫ばれ、防衛費を2倍に、その引き換に増税と生活予算削減。生活を犠牲にしての軍拡。何やらきな臭い動きに恐ろしさを感じる▼政治の仕事は戦争しないための努力だろう。防衛力強化ではなく、紛争を戦争にしない、させない外交努力だと思う。恐怖と欠乏から国民を守る。それは地道な外交努力に尽きる。人間が起こす最大の災害は「戦争」。それを防ぐのも人間の努力で出来るはずだ▼季節は一年で最も寒い大寒。暑さ寒さの自然摂理は変えられないが、それを乗り切る力を人間は持っている。冬は多くの生き物たちが眠る季節、けれども植物は活動している。暖かい場所や陽ざしの、至る所で春を迎える準備をしている。そして、季節は必ず春を向え、花を咲かせる▼日の長さの違いで季節は巡り、繰り返す。時の流れを逆転させている戦争を終わらせるのは「戦争やめろ」の世論が世界を駆け巡り、ロシアを包囲した時だろう▼年の初めに思うことは、私たちの声で春を一刻も早く呼び寄せること。極寒の中、寒さと空爆の恐怖に怯える人々。空爆をやめないプーチン。それでも貴方は人間ですか、怒りの声を!(N生)