北九の仲間(2021/6/15 No.1327)

今月号の記事

連載記事

自治体にとっての「デジタル」関連法とは

  「デジタル改革関連法案」が5月成立しました。本市においても4月に「デジタル市役所推進室」が新設されました。
 今後、市全体でデジタル技術を活用することで、行政サービスや市役所業務が抜本的に見直されることが考えられます。

自治体独自のサービスは?

 菅政権は、コロナ対策そっちのけで行政のデジタル化にアクセルを踏み、官民で住民の個人情報を利活用しようとしています。
 全国の自治体では、地方自治の本旨に基づき、地域の特性や住民のニーズに対応して、自主的かつ多様に独自のサービスを実施しています。子どもの医療費無料化、税金・国民健康保険料・介護保険料の減免、学校給食の無料化、新型コロナ感染症への独自支援策などです。
 ところが国は、「地方公共団体の標準化に関する法律案」において地方自治体には、国が定める標準システムに従うことを義務付け、独自の仕様変更は、「効率的である」と認められる場合など一部の業務しか許さないとしています。独自の仕様変更は、全額自治体負担とされ、自治体の独自性が奪われる恐れがあります。

個人情報が守れない!

 また、国は自治体の窓口業務についてオンライン申請を推進しようと全国の自治体を対象に実証実験を行っています。埼玉県深谷市は、このプロジェクトに応募して採用され、民間企業と連携して、マイナンバーカードの活用や顔認証による本人確認など「セルフサービス化による窓口業務改革」に取り組んでいます。
 深谷市の実証実験結果は、様々な課題を投げかけています。顔認証では、「なりすまし」や偽造が防止できないことや、個人情報をインターネットで伝送したり、パブリッククラウド提供事業者に提供すれば、情報漏洩のリスクがあることも明らかになりました。
 申請書作成の時間が平均で13秒短縮されたとしていますが、市の職員だけで実験を行っておりタブレット端末の操作も一般住民と比較して抵抗が少なかったと推定され、実際の窓口では実証に参加のなかった高齢者が申請書作成に抵抗なくできるか疑問です。
 また、時間短縮ばかり追求すれば住民サービス低下につながります。

自治の根幹がゆらぐ!!

  国は、そうした問題・課題に目をつむり、オンライン化で窓口業務の無人化まで狙っています。
  自治体の窓口業務は、憲法に基づき住民の最善の行政サービスにつなぐ役割があります。
  職員は、住民の貧困や虐待など様々な困難をつかみ当人を支援するセーフティネットにつないでいます。
  デジタル化で個人情報が民間に利活用することは、個人情報を民間が勝手に握ることにつながり、個人情報保護の観点で問題があります。
  同時に自治体の自治の根幹にかかわる重大な問題としてとらえることが必要です。

目次へ戻る

商店街の衰退 北九州市の今を考える③ (市職労自治研部・是石喜文)

 北九州市では、多くの商店街がさびれ、小規模・零細店が減少する一方で、幹線道路沿線などに中規模店や大規模店が増えている。ここからは、大規模小売店の増加をみてみる。(表ー6)
 売場面積を規模別に分けて商店数の推移をみると、小規模・零細店が減少し、中規模及び大規模店が増加していることがわかる。
 100㎡未満の小規模・零細店は10,718店から7,515店へと、97年から07年までの10年間に3,203店(減少率29.9%)も減少している。一方、500㎡以上1,000㎡未満の中規模店は、66店から203店へと3.1倍に増加している。1,000㎡を超える大規模店も、97年の123店から07年には165店へと42店(増加率34.1%)増加している。 

増加の背景

 中規模店や大規模店が増加する背景には、小売店に関する制度の変遷がある。(表ー7)
 90年代以降、自民党政権はアメリカの「市場開放」の要求をうけいれ、周辺小売店との調整のための法律である「大規模小売店舗法」の規制を相次いで緩和し、00年には同法を廃止した。
 新たに制定された「大規模小売店舗立地法」では、大型店と地域社会との融和を促進するために店舗面積等の調整を行わないでよくなった。その結果、大型スーパー等を核店舗として専門店が郊外に続々とできるようになった。中心市街地にある商店街等では、苦境に陥る商店が多くなった。

 
大規模小売店・出店数の推移

 北九州市内の、1,000㎡以上の大規模小売店の新設届出数の年度ごとの件数を図ー3に示す。大規模小売店の新設届出数は、「大規模小売店舗立地法」が施行された00年度から18年度まで、累計で123店であり、年平均の新設届出数は6.5店である。
 年度別にみると、06年度の届出数が15店と急増している。06年度は、「まちづくり3法」が改正され10,000㎡を超える店舗等を郊外に設置することが規制されるようになることから、駆け込み出店が相次いだためである。その反動で、07年度から10年度では少なくなった。その後は徐々に増え、12年度と15年度は10店になっている。
 行政区別にみると、八幡西区が33店で最も多く、小倉南区が29店、小倉北区28店と続いている。この3区で、全体の73.2%を占める。この他、八幡東区が13店、若松区10店、門司区8店、戸畑区2店となっている。

目次へ戻る

平和憲法を守ろう

 5月19日平和憲法を守るために、小倉駅で18時から宣伝行動を平和ネットで取り組みました。
 新型コロナウイルス感染拡大「緊急事態宣言」で大変厳しい生活を強いられる中、連休明け国会では、コロナ対策そっちのけで菅政権は、憲法改悪につながる国民投票法、国民の個人情報保護が欠落したデジタル関連法、高齢者の医療負担を2倍化する法など強行しています。
 平和ネットでは、こうした悪法を強行するよりも、新型コロナ感染が拡大する中、緊急事態宣言で営業自粛や罰則で押さえつけるのでなく、しっかりとした補償とPCR検査の拡充や医療機関への支援こそが急がれると訴えました。
 オリンピック・パラリンピックについても世論調査では、6割の国民が中止すべきと答えています。この感染拡大が続く中、開催に前のめりなのは、菅政権だけではないでしょうか。全国の自治体で、海外代表チームの事前合宿受け入れが、新型コロナ感染拡大で断念せざるをえないと声が上がっています。
 感染防止体制について、入国の14日間は、自治体にも「一定の責任が生じる」と感染防止の手引きに明記され、原則「PCR検査の毎日検査」も求められています。それを求めるのであれば、私たち国民の検査体制こそ急がれるのではないでしょうか。
 今年は、総選挙の年です。コロナ対策より悪法を推進し、国民生活を犠牲にする菅政権にNOをつきつけ、平和憲法を守り、私たちの命を大切にする政権を実現するため、市民と野党の共闘を大きく広げていこう、と参加した弁護士や労働組合役員、県議会議員などリレートークで、次々と訴えました。

目次へ戻る

北九州ぶらり散歩 キタぶら

大正ロマンを感じながら
門司港駅

 新型コロナウイルス緊急事態宣言解除されたら市内の名所や旧跡を訪ねてほしいと今回は、門司港レトロ地区を訪れました。
 もちろん、緊急事態宣言が出る前の時期にですよ。
 最初に足を下したのは、大正3年に創られたルネサンス様式の門司港駅。1988年駅舎として日本で初めて国指定の重要文化財として指定され、2019年に保存修理工事が完了し、新築のようによみがえっています。
 洗面所の前に「帰り水」と呼ばれる蛇口が。説明板に「この水道は、駅が開設されたときに設営されたもの。特に終戦後の復員や引揚の人達が、門司に上陸して安どの思いでのどを潤したところから『帰り水』とよばれるようになった」とあります。周辺にも旧門司三井倶楽部や旧大阪商船などレトロな建物が。
 少し、足を延ばせば鉄道記念館が。屋内には本物の運転台に座って運転の疑似体験ができるシミュレーターが。
 屋外には、懐かしい蒸気機関車や特急つばめ、そして東京に出張に行ったときに利用していたブルートレインが。
 緊急事態宣言の解除が待ち遠しいですね。

帰り水
ブルートレイン

目次へ戻る