非正規労働者が処遇改善を求めた裁判の3つの最高裁判決について(自治労連書記長談話)

2020年10月20日

書記長  石川 敏明

最高裁において、正規労働者と非正規労働者との間に存在する不合理な格差をめぐる3つの裁判で、それぞれ真逆の判決が示された。

10月13日に出された「大阪医科大裁判」および「メトロコマース裁判」の判決は、正規と非正規の格差是正を求める社会的な要請に背を向け、歴史に逆行する不当な判決である。アルバイトへの一時金支給(大阪医科大)を、契約社員への退職金支給(メトロコマース)をそれぞれ原告の非正規労働者が求めたことについて、高裁判決では不十分ながらも不合理な正規との格差と判断し、支給を認めたにもかかわらず、最高裁が「不合理と認められるものに当たらない」と高裁判決を覆がえしたことは、均等待遇実現を求める非正規労働者の願いに背を向けるものである。

一方、10月15日の「日本郵便裁判」では、日本郵便(株)に勤める契約社員が扶養手当、年末年始勤務手当、年始期間における祝日給、有給の病気休暇制度、夏期冬期休暇制度を求めたことについて、正規との格差は不合理であるとして損害を認める判決を言い渡した。日本の労働者の4割にもおよぶ2100万人以上の非正規労働者の、正規との均等待遇実現への大きな一歩となるもので、郵政ユニオンの仲間の勝利を心から歓迎するとともに、非正規労働者自らが立ち上がり大きな前進を勝ち取ったことは、全国の非正規労働者、自治体・公務公共職場の非正規職員にも勇気と確信を与えるものである。

10月15日の判決で各手当及び休暇制度の格差を最高裁が違法と判断したことは、自治体職場でも会計年度任用職員に対する不合理な格差を是正するうえで重要である。4月から処遇改善を趣旨として会計年度任用職員制度が創設されたが、自治体によっては財政難を理由としたフルタイムから短時間パートへの切り替え、期末手当支給に代えての月例給の引き下げなど、法「改正」の趣旨に反する処遇の改悪と言うべき事例も多く見られる。さらに、会計年度任用職員には生活関連手当である扶養手当や住居手当が不支給、病気休暇も無給となっており、不合理な格差の是正を早期に実現していくことが求められる。また、公務公共関連職場や一般地方独立行政法人等で働く仲間の勤務労働条件についても、本判決の趣旨に沿って改善されるべきである。

自治労連は、会計年度任用職員をはじめとする自治体・公務公共関係職場における非正規労働者に対する不合理な格差の是正、処遇改善に向けて引き続き奮闘するものである。

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