いのちと健康センター(2022/10/01 No.176)

アメリカ 働きすぎ?強制休暇続々

 ニューヨークのある企業では、2018年から、フルタイムで一定の期間を働くなどの条件を満たした全従業員に対し、勤続4年ごとに6週間の休暇を与えている。さらに4年働けば再び6週間の休暇を与える。従業員のモチベーション維持や、優秀な人材の確保につなげると言う。
 休暇を取りやすくする工夫をする動きもある。別の企業では、3ヵ月ごとに5日以上の有給休暇を強制的に取得させる制度を導入した。これまでも休暇制度はあったが、休むことに罪悪感を感じる従業員がいたことから制度を改正。休暇取得の有無を評価項目に入れ、事実上、強制的に休ませている。
 大手金融Gも5日間の連続休暇を含む年間15日以上の休暇取得を全従業員の目標とするなど、休暇取得を促す取り組みが広がっている。

年間労働時間最長の国?

 経済協力開発機構のデータによると、主な国の年間平均労働時間は、1980年代は日本が最長だった。 その後、日本はパートタイムで働く非正規雇用者が増えたことなどから平均労働時間が減少し、2004年以降は米国がトップとなった。
 米国でも金融大手など一部の企業の中では長時間労働を「美徳」と考える風潮があり、米国人の「働きすぎ」な状況が問題視されるようになっている。

コロナで人手不足深刻

 コロナ感染拡大後、米国は人手不足が深刻化し、転職する人が急増している。離職者は過去最多を更新し「大退職時代」で、労働市場は売り手市場が続く。企業にとっては人材確保の面から休暇制度の充実が経営課題となっている。
 また、米国でのうつ病などの割合は、コロナ前の約4倍に急増した。コロナ禍でのストレス増加が、特に若い世代や低所得者層に際立つ。
 健康の観点から休みやすい環境を整備するため、州政府が企業に対して病気で休んだ場合にも有給とするように義務付ける動きも相次ぐ。病気で休めば無給となる企業では、体調不良でも無理をして働き、感染拡大を招くことにもなる。

「体調不良」では生産性も低下

 病気の際に有給で休める仕組みが、死亡率と関係することを裏付けるデータも明らかになった。さらに、体調が悪い時に休めることに加え、医療機関を受診できるか、否かが死亡率の違いとなっている。
 企業側は有給休暇の義務化をコストアップととらえがちだが、体調不良のまま働いても生産性は低く、感染拡大の恐れもある。「無理に働かせる方がコストがかかる」のです。

病気の時は有給で安心して休む

 日本でも、アメリカでも「病気の時は、有給で休む」、これがコロナ禍で明らかになった。長期休暇や病気の際の有給休暇など、人間らしくう働くための、休みをめぐる制度を充実させる動きが加速する。

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つぶやき

チャレンジ不耕起農業

 人類が農作を始めて1万年。土地を耕すことで自然を改変し、利用してきた。しかし、土を極限まで耕した結果、生態系は壊れ、温室ガスを大量に排出し地球温暖化の一因となっていると言う。土の元気を取り戻す「耕さない農業」が、今、世界的に注目されている▼環境に優しいはずの農業。実は、温室効果ガスの大きな排出源だった。国連気候変動に関する政府間パネルによると、世界の温室効果ガス排出量約520億㌧(CO2換算)のうち、農林業等の土地利用によるものは4分の1を占める▼土壌は巨大な炭素の「貯蔵庫」だ。大気には約3兆㌧、森林などの植生には約2兆㌧分が溜まっているらしい。土壌には7兆㌧以上があると言う。表土だけでも約3兆㌧▼耕すことで、植物の根や微生物が地中にため込んだ炭素が大気中に放出される。「耕すこと」を止めれば温室効果ガスの排出を大幅に減らせると言う。その有力な手段が「耕さない農業」だ。耕さない農業で土壌の炭素貯留量が著しく増える▼人は1万年の間、土を耕すことを繰り返し、それが農業だと思ってきた。生態系を壊して土中から二酸化炭素を放出してきた。SDGS・持続可能にしていくためには、自然に寄り添い自然と共生するのが1番▼地球温暖化防止のため、人類が1万年続けてきた農法を180度変えて「耕さない農業・不耕起農法」に、小生もチャレンジしてみよう。 (N生)