いのちと健康センター(2021/04/01 No.158)

コロナを問う あなたの心は曇りませんか

 昨年4月7日に、1回目の緊急事態宣言が発せられてから1年が過ぎました。この間、職場ではコロナ感染症対策で三密を避けるソーシャルディスタンス、時差出勤、サテライト職場、テレワークと働き方がめまぐるしく変わった1年でした。

対策は応急から常設へ

 職場の感染防止対策は各課の予算で、それぞれの方法でされています。とりわけ飛沫防止スクリーンは職場ごとにまちまち。伸縮棒にビニールカーテン(写真)を張ったもの。しっかりとした既製品メーカーのクリアスクリーン。段ボール枠の既製品など様々です。ビニールカーテンの飛沫防止膜は曇り、ダレています。見た目も悪く、精神的なストレスになっています。予算が必要ですが常設に耐えるクリアなものにすべきです。
 コロナ対策は国も市も「ワクチン頼り」か、とりあえずの対策、そこから脱皮して感染者が多い箇所を面的に捉えてPCR検査を拡充し、無症状の感染者を発見、保護・隔離する基本的な対策に転換が必要です。

安全衛生委員会のパトロールを

 事業主(当局)には、職員が安全で快適な職場環境のもとで働けるようにする安全配慮義務が課せられています。そして、現在はコロナ感染症のため職場環境が大きく変わり、安全確保にも特別の配慮が必要になっており、働き方も非常(異常)時の態勢です。安全衛生委員会で職場パトロールを実施し、非常時にふさわしい環境か否かを点検しましょう。 コロナ感染症で新たな働き方になっているのですから日常的な点検と改善が不可欠です。せめて心が曇らない職場にしましょう。

デジタル庁創設で行政サービスは⑤

 3月9日からデジタル改革関連法案の国会審議が始まった。菅首相は「誰もが恩恵を最大限受け取ることができる、世界に遜色ないデジタル社会を実現させる」「役所にいかずともあらゆる手続きができる、地方でも都会と同じような仕事や生活ができる」と意義を強調した。
 問題は、法案の基本理念に『個人情報保護』の文言がないことだ。これでは「国家による個人情報集積が監視社会」につながる。権力を監視する仕組みの強化が必要だ。

個人データの不利益利用が不安

 法案は、国が威厳的に集積した個人データをIT企業が「利活用」できる社会にする。マイナンバー制度の適用範囲を拡大し、自治体や国が持つ個人情報と関連付けられ、国が管理する。その国民の所得・資産・医療・教育。消費など膨大な個人データが民間にも提供される。
 国民は個人データの漏えいや不利益利用などの不安がつきまとう。

公共サービスのあり方変質

 デジタル化は行政手続のオンライン化など効率化する利点はあるが職員の対面サービスには代われない。 窓口では、対面でひとり一人の実情に沿った助言やきめ細やかなサービスを提供する。AIなどには不可能な対応だ。プライバシー保護などリスクを気にする人も多い、デジタル化を拙速に決めるべきではない

コロナで国に殺される

●新型コロナウィルス対応を統括する内閣官房の対策推進室に勤務する職員の1月の超過勤務時間が、最大378時間だったことが明らかになりました。これは、無所属の安達澄参議院議員の質問主意書に答えてもの。
●これに対して加藤官房長官は「かなり異常だ」と述べています。また、超勤分の手当については、全額支払われると見通しを示しています。
●政府は、3/5内閣官房の対策推進室で、今年1月の平均の超過勤務時間が122時間だったことを明らかにしました。単月の「過労死ライン」とされる100時間をはるかに超え、最も多かった職員は378時間でした。
対策推進室には102人が勤務。超勤の平均は昨年11月が69時間、12月が77時間で、1月が突出して多くなっています。
●西村大臣は、記者会見で「大変申し訳なく思う」と陳謝。1月の緊急事態宣言発令や、事業者や国民に対する罰則を導入した新型コロナウィルス対策の特別措置法などの改定といった懸案が集中したことが要因と説明。

●仮に出勤日数を月20日間とし、1日8時間勤務とすると所定勤務時間は月160時間。378時間を加算すると、合計勤務時間は538時間となる。1ヶ月30日で720時間なので、勤務以外で使える時間は約182時間しか残らない計算に。休日返上で働いて1日6時間しか残らない。
●殺人レベル。日本最大のブラック企業。国が率先してブラックな事をやってる。殺される前に辞めたい気持ちわかります。

つぶやき 海洋深層水大循環

 私の気候に対する意識は、日々の過ごしやすさとか、農業に適しているかだった。ところが、先日「SDGs・持続可能な社会について」のテレビ番組を視聴。気候変動の壮大な仕組みに驚いた▼日々の天気の変化は大気と海洋(海面水温)の相互作用が重要な関わりを持っている。海洋は大気と比べて大きな質量を持ちそれに伴って、大きな力学的・熱力学的慣性を持っており影響が大きい。エルニーニョ現象に代表される数年から数十年の時間スケールを持つ気候変動は上層海洋が応答している▼さらに、深層海洋は2千年の時間スケールを持つ気候変動に関わっている。上層海洋水がグリーンランド・ラブラドル海で海底に沈み深層水となり、大西洋深層を南下し南極の周辺でさらに沈んで大西洋や太平洋の深層を北上する、2千年の時をかけて地球を一周する大きな循環をつくっている。海洋深層水大循環だ▼今、地球温暖化で海洋深層水の循環がストップしたら、地球の気候変動や食料供給に大きな影響が長期に及んで、私たちの地球に生きているものすべての生命が危機に直面させられるかもしれない▼2030・SDGs・持続可能な社会を考える時に、地球温暖化防止を優先的に取り組む必要を痛感した。産業革命以後の二酸化炭素の放出による温暖化は、高緯度の極地に激しい影響を与えている。北極海の海氷面積が観測史上最小に。グリーランドの氷床は40年前の6倍の速さで溶けている。このまま排出を続けると地球温暖化はさらに加速する。番組に深く考えさせられた。(N生)